最近のマイブームは「A功様ごっこ」だ。
ドラマ『О奥』で、S雅人演じる公家の出で元坊主の男は、運命に翻弄され、己の胸中にある嵐に心を引き裂かれながらも、涼やかな佇まいと奥ゆかしい言葉を惜しまない。
初めて行った店のメシが不味くても、
「食べものに文句をつけたらあかん。何でも美味しゅういただき」
前の車が信号無視しても、
「なんや事情があらはるのやろ。お腹下して厠へ急いだはるのかもしれんで」
若者が意味不明な言葉で喚き散らしても、
「まるで異国の言葉みたいやなあ。わたしには皆目わからへん」
こうして並べてみると、温厚なようでいて、何事にも動じぬ厚顔さも若干感じなくもない。
理不尽な事も、A功様っぽく呟きながらするりと流していきたい。
実際は無理なんだがな。
あくまでごっこだから、心中は憤怒の嵐にかき乱されている。